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肥満症(肥満外来)

肥満症の検査・治療は金山内科にお任せ下さい

当院のホームページをご覧いただき誠にありがとうございます、院長の中村と申します。このページでは総合内科専門医の中村が、肥満症について解説します。

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肥満症とは(定義)

「肥満」とは脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI = 体重 [kg] / 身長 [m]²)≧25 の状態を指します。日本では、標準体重はBMI: 22kg/m²とされています。これは、BMI: 22kg/m²程度が最も死亡率が低い(長生き)という国内からのデータに基づいています。

日本人の男性の31.5%、女性の21.1%が肥満(BMI: 25kg/m²以上)であると報告されておリます。

令和5年「国民健康・栄養調査」より引用

 

「肥満症」とは肥満に関連する健康障害を合併するか、もしくはその合併が予測され、医学的に減量を必要とする状態です。

肥満症 診断基準

肥満と判定されたもの(BMI≧25kg/m²)のうち、以下に示す「肥満症の診断に必要な健康障害」を合併する場合に、「肥満症」と診断します。肥満の状態であると、下記の疾患を発症しやすいことが知られており、この中でも特に糖尿病の発症に肥満が関わっていることが知られています。

  1. 耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常など)
  2. 脂質異常症
  3. 高血圧
  4. 高尿酸血症痛風
  5. 冠動脈疾患
  6. 脳梗塞、一過性脳虚血発作
  7. 非アルコール性脂肪性肝疾患
  8. 月経異常、女性不妊
  9. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群、肥満低換気症候群
  10. 運動器疾患(変形性関節症、変形性脊椎症)
  11. 肥満関連の慢性腎臓病

また、内臓脂肪型肥満(腹部CT検査などによって内臓脂肪面積≧100㎠が測定)の場合にも、肥満症の診断となります。

肥満の原因

肥満の原因は、原発性肥満と二次性肥満に分類されます。

肥満の原因が明らかなものが二次性肥満で、明らかな単一の原因がはっきりしない肥満を原発性肥満と分部位します。

肥満症のうち、原発性肥満が90%以上と言われていますが、厳密な統計データは現時点ではありません。

主な二次性肥満の原因として内分泌疾患(Cushing症候群など)、薬剤性、遺伝性などが知られており、生活習慣の改善を行っても肥満が十分に改善しない場合には、これらの可能性を検討し必要に応じてホルモン検査を実施します。

当院では病歴や身体所見を評価させて頂き、必要に応じてACTH、コルチゾール(Cushing症候群の検査)の測定を実施しています。以下が患者さんへの説明用紙です。

肥満のタイプ

肥満は、内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満という2つのタイプに分けられます。

特に内臓脂肪型肥満が問題で、内臓脂肪により上述の「インスリン」の働きが悪くなり糖尿病になりやすくなります。糖尿病に加えて、高血圧や脂質異常症なども合併しやすくなり、これらを合併した「メタボリックシンドローム」の状態になりやすくなります。

内臓脂肪型肥満ですが特に中高年の男性に多く、お腹がぽこっと出ていることが特徴的です。

メタボリックシンドロームの状態では、心筋梗塞や脳梗塞などの危険性が高まります。そのため、必要に応じて頸動脈エコー、心臓エコーを行い状態を確認します。

また、脂肪肝の有無や重症度を確認するために腹部エコーを実施しています。

肥満度

肥満度の判定は、以下に沿って行われます。

特に、BMI35kg/m²以上では高度肥満と定義され、より厳格な治療が必要です。

BMI (kg/m²) 判定
BMI < 18.5 低体重
18.5 ≤ BMI < 25 普通体重
25 ≤ BMI < 30 肥満 (1 度)
30 ≤ BMI < 35 肥満 (2 度)
35 ≤ BMI < 40 高度肥満・肥満 (3 度)
40 ≤ BMI 高度肥満・肥満 (4 度)

肥満と糖尿病の関係

膵臓から出るホルモンである「インスリン」が糖を血液中から細胞内に取り込んでいます。

糖尿病とは」でご説明していますが、糖尿病とは「インスリン」が十分に働かないために血液中から細胞内にブドウ糖を取り込めず、それにより血液中のブドウ糖濃度が高い「高血糖」の状態が持続する疾患です。

肥満の状態だと糖尿病になりやすい理由ですが、肥満になると「インスリン」の働きが鈍くなることが知られており、これにより高血糖の状態になってしまいます。

当院の糖尿病内科に関しては以下を参照してください。

肥満と睡眠時無呼吸症候群の関係

肥満になると、腹部だけでなく首や喉の周りに脂肪がつきます。それらが原因で寝ている間に気道を圧迫し、気道の閉塞につながります。これが肥満による睡眠時無呼吸症候群を発症させるメカニズムです。

逆に、睡眠時無呼吸症候群が肥満を加速させてしまうこともあります。これは、睡眠時無呼吸症候群が原因で、睡眠の質が悪くなることによって食欲に関係する2つのホルモンが影響を受けてしまうからです。

・レプチン・・・食欲を抑制するホルモン

・グレリン・・・食欲を増進させるホルモン

これら2つのホルモンがバランス良く機能することにより、適切に食欲が発生し、適度な食事量で満腹を感じることができるわけです。

しかし、睡眠時無呼吸症候群が原因で、睡眠の質が悪くなることにより、この2つのホルモンがバランス良く機能されず、結果、以下のように、食欲を抑制することができなくなってしまいます。

・レプチン減少・・・空腹感が増し満腹感が得られにくくなる

・グレリン増加・・・空腹感が増し食欲が増進される

よって睡眠時無呼吸症候群が原因で睡眠の質が悪くなると、食欲を抑制することができなくなり、結果どんどん太り、肥満になりやすくなると考えられています。

このことから睡眠時無呼吸症候群と肥満は強く関連しており、肥満になると睡眠時無呼吸症候群になり、睡眠時無呼吸症候群になるとさらに肥満が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。

そのため、当院ではチェックシートを用いてアンケートを実施させて頂き、疑わしい方に関しては自宅での睡眠中の検査を実施させて頂いております。

睡眠時無呼吸症候群に関して詳しく知りたい方は、以下をご参照ください。

肥満症外来の治療目標

肥満症の治療において、減量は目的はなく手段です。治療目標は、体重を落とすことにより合併する疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症)などが改善し、それにより健康寿命を長くする(心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを減らす)ことになります。脂肪の中でも、特に内臓脂肪を落とすことが健康寿命の延伸に重要です。

一方、内臓脂肪を減らしつつ筋肉量を維持することも健康寿命の延伸に重要です。

また、健康寿命が長くなることにより個人の「生活の質」が改善し、より満足した生活を送れることも期待できます。

具体的な減量目標ですが、肥満症(BMI25-35kg/m²)ではその時点の体重から3%以上の減量、高度肥満症(BMI35kg/m²以上)ではその時点の体重から5-10%の減量を目標とします。

以下の流れに沿って治療を行うことが推奨されています。

肥満症診療ガイドライン2022より引用

肥満症 治療

肥満症の治療の基本は食事療法です。それでも不十分な場合には薬物療法や外科的治療が検討されます。

運動療法は減量するためには効果は不十分であるとされていますが肥満の予防には有用で、また減量した後の体重の維持にも有用です。

減量がうまくいって体重が落ちても、リバウンド(体重増加)することも多いため、食事療法と運動療法を継続していくことが重要です。

肥満症 食事療法

肥満症(BMI: 25-35kg/m²)では、1日の摂取エネルギー量の算定基準は25 kcal × 目標体重(kg)以下にすることが推奨されています。目標体重の目安は65才未満ではBMI: 22kg/m²程度、65才以上ではBMI: 22-25kg/m²程度の体重とされています。

エネルギー量の内訳は、炭水化物50〜65%、蛋白質13〜20%、脂肪20〜30%が目安とされています。ただし、体重減少には糖質(炭水化物)制限が有効なので、糖質をさらに制限しても良いかもしれないという報告もあります。

内臓脂肪減らしつつ筋肉量を維持することも重要なので、必須アミノ酸を含む蛋白質、ビタミン、ミネラルを十分に摂取することが勧められています。

当院では、管理栄養士による食事指導に力を入れており、LINEを利用して食事内容を送付いただき、次回の栄養指導に役立てています。

肥満症 運動療法

上述の通り運動療法は減量するためには効果は不十分であるとされていますが、肥満の予防には有用です。また、運動により死亡のリスクや心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患のリスクを下げることができるので、肥満治療においても非常に重要です。

具体的な内容としては、以下が推奨されています。

・有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)を中心に行い、レジスタンス運動(スクワットや腕立て伏せなど)の併用も望ましい。

・軽~中強度の運動を1日30分以上行い、週150分以上確保する。

肥満症 薬物治療(治療薬)

漢方薬

肥満症に保険適応で使用可能な漢方薬として「防風通聖散」があります。体重を落とす効果が期待できる薬剤ですが、その機序としては「食欲低下」「褐色脂肪組織の活性化」などの機序が考えられています。

錠剤と顆粒で選べますが、錠剤の場合には1日27錠と内服する錠数が多いことも問題なります。

代表的な副作用としては肝機能障害、下痢、低カリウム血症、発汗などがあり、内服中は定期的に経過を見ていく必要があります。

そのほかに、肥満症に保険適応があり効果が期待できる漢方として「防已黄耆湯」があります。

保険適応について

肥満治療薬の新薬であるウゴービ(GLP-1受動態作動薬)が2024年2月より発売されました。この新薬は、保険適用で使用できるようになっています。しかしながら、現時点では保険診療で処方できるのは大学病院や総合病院に限られます。

さらに、保険適応が認められているのは以下を満たす患者さんに限ります。

※ 肥満症の診断基準に必須の11の健康障害
1)耐糖能障害(2 型糖尿病・耐糖能異常など)、2)脂質異常症、3)高血圧、4)高尿酸血症痛風、5)冠動脈疾患、6)脳梗塞・一過性脳虚血発作、7)非アルコール性脂肪性 肝疾患、8)月経異常・女性不妊、9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、10) 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)、11)肥満関連の慢性腎臓病

日本肥満学会より引用

 

要約しますと、以下の場合に保険適応になります。

・BMI が 27 kg/m2 以上であり、2 つ以上(高血圧、脂質異常症又は 2 型糖尿病を含む)の肥満に関連する健康障害を有し、食事/運動療法で十分な効果が得られない場合。

・BMI が 35 kg/m2 以上であり、高血圧、脂質異常症又は 2 型糖尿病のいずれかを有し、食事/運動療法で十分な効果が得られない場合。

これらに該当する方に関しては、ご希望に応じて総合病院(現状、当院の近隣ですと藤田医科大学ばんたね病院、名古屋大学医学部附属病院、名古屋市立大学病院など)にご紹介させて頂きます。

ダイエット目的で「痩せ薬」として使用することの問題点

近年、このGLP-1受動態作動薬は美容クリニックなどにおいて「痩せ薬」として不適切に使用されている事例が問題視されており、本来の使い方と違う使い方で宣伝されていると問題視されております。そのため、厚生労働省や各学会より適正使用のための注意喚起がされております。

問題視されている理由として、以下があります。

・GLP-1受容体作動薬が美容目的に使われてしまい、本来必要な糖尿病の患者さんが使えなくて困っている。(この問題に関しては、2025年3月の時点では解消されつつあります。)

・GLP-1受容体作動薬を美容目的で服用した場合のデータがなく、肥満症の方に使用した場合と比べて副作用が多いかなど、安全性が明らかでない。

・「自己責任の上で自由診療を行います。」という同意を患者さんから取っている医療機関もあり、重篤な副作用が起きた場合にも表に出にくくなっている。

保険適応外のGLP-1受容体作動薬の使用に対する当院のスタンス

当院は美容目的のGLP-1受容体作動薬の処方は行いません。

GLP-1受容体作動薬を服用することにより、健康寿命延伸の恩恵を受けらる可能性が高いと医師が判断した方に限り使用するべきと考えています。

上述の「BMI22kg/m²程度が最も死亡率が低い(長生き)」という国内からのデータもある通り、痩せ過ぎていると逆に死亡率が上がってしまう恐れがあります。また、GLP-1受容体作動薬の使用は膵炎など重篤な副作用のリスクもあり、副作用で死亡してしまう危険性も0ではありません。そのため当院では、糖尿病がない場合は、BMI25kg/m²未満の方(肥満の基準を満たさない方)に投薬は行いません。

一方、現状の保険適応の基準に満たなくても、使用することによりメリット(健康寿命の延伸の期待)がデメリット(副作用のリスク、金銭的負担)を上回る人もいると考えます。

特に糖尿病脂質異常症高血圧慢性腎臓病睡眠時無呼吸症候群メタボリックシンドロームなどの内科慢性疾患をお持ちの方に関しては、GLP-1受容体作動薬により減量することで病状の改善や健康寿命の延伸が期待できる可能性があります。ただし、これに関しても現状ではデータが不十分な点も残っており、今後のエビデンス(論文)の蓄積が待たれる状況です。

まずは上述の食事療法、運動療法の指導を医師、管理栄養士よりさせて頂いた上で、メリット(健康寿命の延伸の期待)がデメリット(副作用のリスク、金銭的負担)を上回ると医師が判断した場合に限り処方をさせて頂きます。

一旦始めた後にいつまで続けるかと言う問題も出てくるため、使用前に体の状態を検査などで確認し、十分に話し合うべきと考えます。なので、初回受診時に処方は行わないことをご承知おき頂きたいです。

また、当院は自由診療のGLP1受容体作動薬の値段はあえてホームページに掲載していません。「手っ取り早くGLP1受容体作動薬を安くもらいたい」という方は、当院では期待に添えない可能性があるためです。比較的安価に提供しておりますが、値段に関してはお電話で問い合わせ頂いてもお答えできませんので、ご承知おき頂きたいです。必要に応じて、診察の際に医師よりご説明させて頂きます。

参考までにですが、2025/6時点で当院でGLP1受容体作動薬を使用している方は「保険適応でGLP1受容体作動薬が使用可能な対象だけど、仕事が忙しくて日中に大学病院に行けない」という方が多いです。

当院へのアクセス

当院は金山駅から徒歩30秒で、地下鉄直結という通院しやすい立地です。

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詳しくは以下を参照してください。

当院の診療時間

現役世代の方や、遠方からお越しの方も通院できるように「平日夜20時まで診療」「土曜午後診療」を行います。

診療時間
9:00~13:00中村 永瀬※1中村 渡部※2中村 渡部※2中村※5中村中村
13:00~16:00中村
14:00~18:00中村
16:00~20:00中村 呼吸器※3中村中村 循環器※4

※1 月9-12時 リウマチ専門医 永瀬
※2 火水9-13時 糖尿病専門医 渡部
※3 火17-20時(第3週のみ18時-)呼吸器専門医
※4 金17-20時(第1.3.5週)循環器専門医
※5 第三木曜日はスタッフ研修のため休診
※当院は予約優先制です。
※診療時間終了の15分前が最終受付です。(予約外・新患の方の最終受付は診療時間終了の30分前までです)
※当院は15歳以上の方を対象としており、小児の診療は行っておりません。
※開錠は診療開始時間の10分前です。

△ 14:00~18:00

休診日 日曜日 祝日

受診を希望される方へ

いかがでしたでしょうか。

肥満症の患者さんの多くは高血圧糖尿病睡眠時無呼吸症候群慢性腎臓病脂質異常症・脂肪肝などを合併しております。これらの疾患は密接に関連しているため、一人の主治医がまとめて診療した方が良いと考えております。

当院は、上記のいずれの疾患も専門的に診療可能なことが強みです。また、管理栄養士による食事指導検査技師による腹部・頸動脈・心臓などの超音波検査にも力を入れています。

名古屋で肥満外来をお探しであれば、金山駅前の当院への受診をご検討ください。

なおセカンドオピニオンは保険診療で認められていないので、お受けしておりませんのでご承知おき頂けますと幸いです。

 

参考文献:肥満症診療ガイドライン2022、日本糖尿病学会「GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」、日本医師会「糖尿病治療薬等の適応外使用について」、厚生労働省「医療広告ガイドライン」、日本肥満学会「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント

 

この記事の執筆担当者:中村嘉宏(総合内科専門医)

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