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シェーグレン症候群

シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群は膠原病の一部に分類され、唾液腺や涙腺などを標的とする自己免疫疾患です。

女性に多い病気(男女比は117)、特に40〜60歳代で発症することが多いですが、あらゆる年齢層で発症します。

自覚症状がわかりづらい病気のため診断がされていない患者さんも多く正確な数字は不明ですが、20~50万人程度いると予想されています。

主な症状としてはドライアイ(目が乾く)、ドライマウス(口が渇く)という症状がありますが、後述するように全身のさまざまな臓器に異常きたすことがあります。

関節リウマチ橋本病、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症などを合併しやすいことも知られています。

シェーグレン症候群の症状

眼の渇き(ドライアイ)

涙の分泌が低下することにより、「ドライアイ」という目が乾いた状態になります。

自覚症状として、「眼に砂が入ったような異物感」「眼が疲れる」「眼が痛い、充血する」「涙が出ない」「目がかすむ」などの症状が見られることがあります。

舌の渇き(ドライマウス)

唾液腺が障害されることにより唾液が出づらくなり、「ドライマウス」という口の中が乾いた状態になります。

自覚症状として「口の中の違和感」「パンやビスケットなど乾いた食品を水分なしでは摂取できない」「虫歯が多発する」「舌が痛い」「味を感じづらい」というような症状が出ることがあります。

進行すると、以下の図のように赤く、乾いた舌となることがあります。

Nat. Rev. Rheumatol. 8, 399–411 (2012)より引用

手のこわばり

関節リウマチのように、「手の関節が痛い」「手の関節が腫れる」という症状が見られることもあります。

Nat. Rev. Rheumatol. 8, 399–411 (2012)より引用

レイノー現象

主に冷水で手を洗ったりなど手が寒冷にさらされた際に血流が悪くなり、以下の図のように手指が変色する現象です。

典型的には、白→紫→赤という順に変化していきます。

指の痛みや痺れを自覚することがあります。

Kelly Chapter84 Clinical features and treatment of Sclerodermaより引用

 

上記の他にも、以下の臓器の異常を認めることがあり、シェーグレン症候群が疑われる際にはこれらの臓器に関する診察、検査も併せて行います。

リンパ節腫脹
腎機能障害
肝臓の病変
甲状腺疾患
神経障害
皮膚症状
肺病変
血液疾患

シェーグレン症候群 診断基準

さまざまな診断基準が発表されていますが、以下は従来から使用されている診断基準です。

シェーグレン症候群診療ガイドライン2017年版より引用

 

この診断基準を要約しますと、以下のうち2項目異常を満たせばシェーグレン症候群の診断になるというものです。

1口唇から組織を採取し炎症を認める

2唾液の分泌量を確認

3目の渇きを眼科で確認

4採血で、シェーグレンで陽性になるSS-Aか SS-Bが上昇

シェーグレン症候群 治療

ドライアイ、ドライマウスに対して薬物治療を行いますが、ステロイドなどの免疫を抑える治療でこららの症状の改善は乏しく、副作用のデメリットが上回るため推奨されていません。

そのため、ドライアイ、ドライマウスに対しては根本治療ではなく対症療法が中心となっています。

一方、腎臓、神経、皮膚、肺、血液などの臓器のを合併した場合にはステロイドなどの免疫を抑える治療を行った方が良いことがり、その場合は総合病院にご紹介をさせて頂きます。

ここではドライアイ、ドライマウスの治療に関してご説明をさせて頂きます。

眼の渇き(ドライアイ)

乾燥症状に応じて、人工涙液であるソフトサンティア(点眼として1回2〜3滴 1日5〜6回など)や、ヒアレイン点眼液(1回1滴 1日2〜4回 など)を用います。

それでも自覚症状の改善が乏しい場合にはジクアス点眼液(1回1滴 1日6回など)、ムコスタ点眼液( 1回1滴 1日4回など)を検討します。

上記の点眼が頻回になってしまう場合など重度の場合には、「涙腺プラグ」という眼科的な処置による治療も選択肢になりますので、眼科にご紹介させて頂きます。

舌の渇き(ドライマウス)

口腔内の乾燥により、虫歯などが問題になるので口腔ケアを徹底することや定期的な歯科受診が必要です。

乾燥症状に対する対症療法として、人工唾液であるサリベートエアゾールというスプレー等を用います。

また、唾液量の増加の効果がある薬剤として「サラジェン」や「エボザック」があります。ただし、どちらも発汗、腹痛、ほてり、動悸などの副作用がありますので1日1回と少なめの量から開始します。副作用に問題がなければ1日3回まで増量します。また、これらの薬剤は「虚血性心疾患」や「気管支喘息」の患者さんでは使用してはいけないことも注意点です。

シェーグレン症候群は治るか

現在準備中です

 

参考文献:シェーグレン症候群診療ガイドライン2017年版、Kelly Chapter84 Clinical features and treatment of Scleroderma、Nat. Rev. Rheumatol. 8, 399–411 (2012)

この記事の執筆担当者:中村嘉宏(リウマチ専門医、指導医)

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