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関節リウマチ 検査

関節リウマチの検査

関節リウマチの診断時には、「関節リウマチの診断」でもご説明しているように、関節リウマチ以外で関節が痛くなる疾患の可能性を考える必要があります。

また、関節リウマチの患者さんは「関節リウマチの合併症」でもご説明しているようにさまざまな病気を合併することがあります。

治療開始後にも、副作用を確認していく必要があります。例えば、関節リウマチで最もよく使われる「メトトレサート」でも様々な副作用があります。(詳しくは「メトトレキサートの副作用」を参照してください)

上記のため、関節リウマチの「診断」「合併症の確認」「疾患活動性の評価」「薬剤の副作用の確認」などの目的で、初診時や治療中に血液検査、尿検査、レントゲン、関節超音波検査(関節エコー検査)、骨密度検査などの検査を定期的に行っていく必要があります。

以下で、各検査で確認することについてご説明させて頂きます。

血液検査

初診時及び、治療中に定期的に測定する項目

ここでは関節リウマチの患者さんで最も使われているメトトレキサートを使用中に必須な検査を中心にご説明をさせて頂きます。

特に、薬剤開始後や増量後は2-4週間ごとに採血して効果や副作用の確認をするのが一般的です。

末梢血検査
WBC(白血球数)

白血球は、感染症や炎症などにより上昇します。普段よりも上昇している場合には感染症を疑うサインになります。また、薬剤の副作用で白血球の数が低下していないかどうかを確認します。

ヘモグロビン

貧血を表す検査です。関節リウマチにより全身の炎症が強いと貧血を起こし、低値を示すことがあります。

生化学検査
CRP、赤血球沈降速度

全身の炎症を表す検査です。関節リウマチにより全身の炎症が強いと、高値を示します。

KL-6

肺の炎症を表す検査です。関節リウマチそのものや、メトトレキサートの副作用で「間質性肺炎」を合併することがあり、間質性肺炎の強さを表す検査です。

MMP-3

関節の炎症の強さを表す検査です。

総ビリルビン、AST、ALT、ALP、γ-GTP、LDH

主に肝臓の機能を表す検査です。肝機能障害は、ほとんどの薬剤において副作用として起こる可能性があります。

BUN、クレアチニン、eGFR

腎臓の機能を表す検査です。腎臓の機能が悪くなりeGFR60未満の状態を「慢性腎臓病」と言います。腎機能の分類に関して詳しく知りたい方は「慢性腎臓病の病期(ステージ)分類」をご参照ください。

初診時に測定する項目

免疫学的検査
RF、抗CCP抗体

関節リウマチの診断」で説明さえていただいておりますが、いずれも関節リウマチの診断基準(分類基準)に含まれており、これらが上昇している場合には関節リウマチを強く疑う所見です。

ただしRF、抗CCP抗体が上昇していても関節リウマチでは無いことがあります。またRF、抗CCP抗体が上昇していない関節リウマチ患者さんもいるので、「RF、抗CCP抗体上昇 = 関節リウマチの診断」では無いことに注意が必要です。

IgG、IgM、IgA、抗核抗体、補体(C3,C4)

主に全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などの膠原病で異常を示す検査です。関節リウマチの初診時に、シェーグレン症候群の合併などを確認します。

感染症検査
B型肝炎(HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体)、C型肝炎(HCV抗体)

関節リウマチの治療中には、過去にB型肝炎やC型肝炎にかかったことがある人が、再度悪化してしまうことがあります。B型肝炎やC型肝炎に知らずにかかってしまっている人もいるため、初診時に確認します。

T-SPOT

結核に感染しているか、感染した頃があるかを確認できる検査です。

βD-グルカン

真菌の感染の確認ができる検査です。

尿検査

尿中の蛋白、潜血、糖など を測定することで、腎臓の病気が発症してしまっているかを定期的に確認します。

普段の健康診断で行う項目とほぼ同じ検査を行います。尿検査に関して詳しく知りたい方は以下をご参照ください。

レントゲン

関節レントゲン

手のレントゲン検査では、関節の変形がないかを確認します。

発症初期には一番左のレントゲンのように軽微な異常に止まるか、もしくは異常がないことが多いです。

ただし、十分な治療が行われないと徐々に進行してしまい、最終的には一番右のレントゲンのように高度に変形をきたしてしまいます。

JAMA . 2018 Oct 2;320(13):1360-1372より引用

 

手のレントゲンは初診時と、その後に手が変形してしまわないかを確認するために最低でも年に1回定期的に確認していきます。

胸部レントゲン

胸部レントゲンを初診時に肺に病気をお持ちでないかを確認します。

肺の病気がある場合にはメトトレキサート生物学的製剤を使用しない方が良い場合があります。

治療中に薬剤の副作用で肺の病気を起こしてしまうこともあり、最低でも年に1回、定期的に確認していきます。

関節超音波検査(関節エコー検査)

関節エコー検査は、関節の腫脹の状態、炎症の状態をリアルタイムに観察することが可能です。そのため、検査を行いながら患者さんに説明することが可能です。

以下はエコーの所見ですが、色がついているところは高度の炎症を反映しており、リウマチの活動性が高いことがわかります。

Lancet 2017; 389: 2338–48より引用

 

関節超音波検査は初診時、痛みが悪化した時に痛い部位を検査、定期的に検査、など様々な活用法があります。

またこの検査は痛みがなく、放射線による被曝もないため安全に検査を実施する事も特徴です。

骨密度検査

関節リウマチの患者さんは骨折の原因になる骨粗鬆症を合併する頻度が多く、実際に骨折をしてしまうと健康上大変問題になります。

そのため、関節リウマチの診断時や治療中に、定期的に骨密度を調べることが重要です。

骨密度検査に関して詳しく知りたい方は以下をご参照頂けますと幸いです。

 

いかがでしたでしょうか。

関節リウマチでは「診断」「合併症の確認」「疾患活動性の評価」「薬剤の副作用の確認」のために、初診時と治療中に様々な検査が必要になりることをご説明させて頂きました。

東海エリア、名古屋で関節リウマチ専門医の外来をお探しであれば、是非金山駅前の当院への受診をご検討ください。

 

参考文献:関節リウマチ診療ガイドライン2024、メトトレキサート使用と診療の手引き2023年度版

この記事の執筆担当者:中村嘉宏(リウマチ専門医、指導医)

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