高血圧 原因と検査
高血圧 原因
高血圧は、主に「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分類できます。
その中でもさらに詳しく分類され、その原因は多岐にわたります。以下で、代表的なものをご説明します。
本態性高血圧
高血圧患者の約90%を占め、明確な原因が特定されていないタイプです。要因として、以下が考えられています。
塩分の過剰摂取
塩分を取りすぎることは血管内の血液量の増加につながり、それにより血圧が上昇します。高血圧の方は6g/日以下ににすることが勧められています。
肥満
内臓脂肪が蓄積により体内で炎症を起こしやすいことも知られており、それが高血圧や動脈硬化が増える要因と考えられています。
運動不足
運動不足により血圧が上昇してしまうこと、また逆に運動により高血圧の患者さんの血圧を低下させることができることがわかっています。詳細なメカニズムに関しては十分に分かっていないこともあり、研究が行われています。
過度の飲酒
メカニズムは十分に解明されていませんが、継続して一定量以上のアルコールを摂取すると、高血圧を発症しやすいことが知られています。
睡眠不足
寝不足により交感神経が刺激され、血管が収縮することにより血圧が上がると考えられています。
喫煙
タバコの成分であるニコチンにより、交感神経が刺激され、血管が収縮することにより血圧が上がると考えられています。
ここまでの本態性高血圧の原因に関しては、患者さんご自身で改善できる部分かと思います。高血圧の生活習慣で気をつけることに関して、詳しく知りたい方は以下をご参照ください。
加齢
年齢が上がるにつれて血管が硬くなってくるため、血圧が上昇しやすくなります。
以下の図のように、男女ともに年齢が上がるにつれて高血圧を持つ人の割合が増えることが知られています。
高血圧ガイドライン2019より引用
体質
親が高血圧であると、子供も高血圧になりやすいことがわかっています。これには、「遺伝による要素」と「(塩分が多いなどの)生活環境」のどちらも関係していると考えられています。
ただし必ず高血圧を発症するわけではないので、親が高血圧の場合には特に食生活に注意することが重要です。
妊娠
妊娠20周異国にに高血圧を発症することを妊娠高血圧症候群といい、妊婦の約5%で起きると言われています。悪化すると、最悪の場合母体、胎児いずれも命に関わることもあるので、慎重な対応が必要です。
二次性高血圧
二次性高血圧は明確な原因が存在するタイプで、全体の約10%を占めます。
腎臓病
主な原因として、慢性腎臓病などにより塩分の排泄が不十分となることによる「腎実質性高血圧」、腎臓への血管が狭くなる「腎血管性高血圧」があります。
睡眠時無呼吸症候群
眠中、呼吸が停止し再開するたびに覚醒してしまい交感神経の働きが高まります。これにより、高血圧の発症、悪化に繋がると考えられています。
ホルモン異常
原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群などがあります。
この中で、原発性アルドステロン症が最も頻度が高いです。
薬剤の副作用
NSAIDs、ステロイド、漢方薬、経口避妊薬による高血圧が起こることが報告されています。
高血圧 検査
高血圧の患者さんでは、問診、身体診察、血液検査などで原因を探っていきます。
問診
高血圧ガイドラインで、高血圧の患者さんで確認することの要点が以下のように記載されています。
高血圧ガイドライン2019より引用
外来で上記の項目の全てを確認することは難しいですが、頻度の高い項目を中心に確認します。
特に、睡眠時無呼吸症候群は高血圧の患者さんではそうでない人と比較して頻度が高いことがわかっており、いびき、日中の眠気や倦怠感などの症状がある患者さんにおいては睡眠時の検査を行います。
身体診察
高血圧ガイドラインで、高血圧の患者さんで確認することの要点が以下のように記載されています。
高血圧ガイドライン2019より引用
こちらに関しても外来で上記の項目の全てを確認することは難しいですが、頻度の高い項目を中心に確認します。
特に、肥満症やメタボリックシンドロームでは高血圧を合併しやすいため、体重や腹囲の把握は重要です。必要に応じてInBody検査で全身の脂肪の量などを確認します。
また、心音(心臓の音)の聴診で雑音や脈の不整を確認します。雑音がある場合には、より積極的に心臓超音波を行うことを検討します。
血液検査、尿検査
高血圧ガイドラインで、高血圧の患者さんで確認することの要点が以下のように記載されています。
高血圧ガイドライン2019より引用
高血圧の場合にこれら全てを行う必要はありませんが、患者さんごとに実施する検査を検討します。
採血検査の項目は、腎機能(クレアチニン、eGFR)を中心に定期的に確認することが好ましいと考えています。
採血でホルモン検査(血漿レニン濃度,アルドステロン濃度という原発性アルドステロン症の検査)は一度で良いので行った方が良いと考えています。ホルモンの採血は、15分以上を仰向けで安静を維持した後に行います。
また、尿検査に関しても腎臓の状態を確認するために定期的に実施した方が良いと考えています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
高血圧の原因は多岐にわたるので、高血圧の診断時にその原因を十分に検討する必要があります。
名古屋市で高血圧での外来受診をお考えであれば、金山駅前の当院への受診をご検討ください。
引用文献
この記事の執筆担当者:中村嘉宏(総合内科専門医)