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高血圧 合併症と検査

高血圧の合併症について

高血圧は通常無症状のため、自覚症状がないため気づかないうちに全身の血管が傷つき、動脈硬化が進んでしまいます。

その結果、腎臓、心臓、脳、足などの臓器に異常を起こしてしまう事があります。

高血圧の治療はこれらを防ぐことが目標になりますが、血圧を適切にコントロールすると同時にこれら臓器に関して検査を行い、重篤な状態になることを予防することも重要と考えています。

検査により疾患などが見つかった場合には、行うべき治療の内容が変わることが多いのですが、検査を実施しないと気付けないことが多いという問題点があります。

「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子では、以下のように記載されています。各臓器に関して、それぞれ以下で解説していきます。

一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子より引用

腎臓

高血圧のコントロールが不良な状態が続くと腎臓に負担がかかり、慢性腎臓病を引き起こすリスクが高まります 。慢性腎臓病が悪化すると透析になってしまいますが、透析を開始する原因の約20%が高血圧が原因である「高血圧性腎硬化症」であることが知られています。

一方、慢性腎臓病は高血圧を発症しやすく、慢性腎臓病のうち70%以上の患者さんが高血圧を有していると報告されています。また、我々の研究グループのデータでは進行した慢性腎臓病の患者さんの90%以上が高血圧を有しているというデータが得られています。

このように血圧と腎臓は密接な関係があり、腎機能により使用すべき薬剤も変わってくるため専門医による定期的な評価が好ましいと考えています。

腎臓の状態を確認するために必要な検査は「血液検査」「尿検査」で、状態を確認するために定期的な検査が必要です。

 

高血圧により腎臓が障害される、高血圧性腎硬化症に関しては以下をご参照ください

心臓

高血圧性心肥大

高血圧が持続し全身の血管に動脈硬化が起きると、(全身の血管の抵抗が上昇し)全身に血液を送る心臓にも負担がかかってきます。それにより、心臓の筋肉が発達して心臓が大きくなるとともに、心臓の内腔が狭くなってきます。

これらにより、心不全や不整脈など重篤な疾患を起こしてしまう危険性が上昇します。

心臓の形態に関しては名古屋大学腎臓内科のグループでも研究を行っており、高血圧の患者さんでも重要な事項と考えています。

心筋梗塞・脳梗塞

心臓の筋肉に血液を送っている血管が詰まってしまう病気が「心筋梗塞」、この血管が狭くなって血液が十分に送れなくなってしまう病気が「狭心症」です。高血圧により、これらの疾患を発症する危険性が上昇することが知られています。

「心筋梗塞」は通常強い胸の痛みが起きるために気づく事が可能ですが、命に関わる病気です。ですので、この「心筋梗塞」になる前の「狭心症」の段階で病気を見つけ、カテーテル治療などの適切な治療を行う事が重要です。

しっかり検査を行なっていれば、狭心症の段階で「心電図」「心臓超音波検査」で異常が見つかる事が多いです。

上記の心臓の状態を確認するために必要な検査は「胸部レントゲン」「心電図」「心臓超音波検査」ですが、特に心臓超音波検査では「心臓の動きに問題はないか」「心肥大はないか」「心臓の弁に石灰化がないか」など多くの情報が得られます。心肥大がある場合には、ある程度以前から高血圧の状態が持続していたことが推察できます。

脳出血、脳梗塞などの総称を「脳卒中」と言いますが、この脳卒中は寝たきりになってしまう原因として最多です。発症しても命は助かる事は多いですが、日常生活に支障をきたしてしまうため、これを予防することは重要です。

脳出血

血圧のコントロールが不十分の状態が続くと、脳出血の危険性が上昇してしまいます。

脳出血は突然起きるため、事前の検査によりそれを防ぐことは難しいのが実情です。

脳梗塞

脳梗塞は、脳への血流が悪くなることにより手足の麻痺などが起きてしまう病気で、高血圧によりその危険性が上昇します。脳梗塞の原因は様々ですが、脳や頸動脈の動脈硬化が進むことと、不整脈により発症することが多いです。

脳の状態を確認するための検査として頭部MRI検査があります。

また、脳梗塞を発症してしまう危険性を確認するために「頸動脈超音波検査」があります。この頸動脈超音波検査により、「首の動脈が狭くなっていないか」「プラークがないか」を確認することが可能です。

足の血管(末梢性動脈疾患)

足の血管の動脈硬化により、足への血流が悪くなってしまう病気です。病気が進行すると、足の指先などに痛みが生じることがあります。

進行してしまうと足が壊死してしまい足の切断をしなければならないこともあるため、状態に応じて抗血小板薬の内服、血管のカテーテル治療などの治療を要する事があります。

足の血管の状態を確認するために必要な検査は「血圧脈波(ABI)検査」「下肢動脈超音波検査」です。

特に下肢動脈超音波検査では、動脈硬化の程度や血管の狭い部位など多くの情報が得られます。

 

いかがでしたでしょうか。

高血圧では、合併症があるかどうかによって行うべき治療内容が変わってくるため、それらの状態を調べることは重要と考えています。

名古屋市で高血圧での外来受診をお考えであれば、金山駅前の当院への受診をご検討ください。

 

引用文献

「高血圧治療ガイドライン2019」PDF版 

一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子日本高血圧学会

 

この記事の執筆担当者:中村嘉宏(総合内科専門医)

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