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高血圧 生活習慣の改善

高血圧と生活習慣

受診時に医師によりリスクの評価を行い、直ちに薬物療法を開始しなくても良いと判断される場合には、生活習慣を見直した上で1~3ヶ月血圧の経過を見て、血圧が下がるかどうかを確認します。

また、高血圧の治療薬を内服中であっても生活習慣の改善は重要です。以下に取り組むことにより、内服している薬の量を減らしたり、中止することができることもあります。

生活習慣の改善ポイントとして、具体的にはガイドラインで以下が推奨されております。

減塩

日本人は食塩摂取量が多く(平成29年の国民健康・栄養調査では男性10.8g/日、女性9.1g/日と報告されています)、そのため減塩することによる血圧低下の効果が大きいと考えられています。

食塩摂取量を6g/日未満に抑える事が推奨されていますが、これを守ることは難しい患者さんもおられます。そのため、まずはできる範囲で減塩をしていくことが重要と考えています。

以下に気をつけるだけでも、一定の減塩の効果が見込めると思います。

高血圧治療ガイドライン2019解説冊子より引用

食事パターン

カリウム摂取

野菜や果物にはカリウムが豊富に含まれており、これらを積極的に摂取することにより血圧が低下することが期待できます。「日本の食事摂取基準2015年度版」では1日に3000mg以上のカリウムを摂取することが推奨されています。ただし、慢性腎臓病の患者さんにおいては、カリウムの過剰摂取により「高カリウム血症」という危険な状態になってしまうこともあるため、注意が必要です。

DASH食、地中海食

高血圧の患者さんでは「DASH食」、「地中海食」のような食生活のスタイルが提案されています。両者は似ている点も多く、具体的には以下のような形でまとめられます。

野菜、果物、全粒穀物、低脂肪または無脂肪の乳製品(低脂肪ミルク、低脂肪ヨーグルトなど)の摂取を増やす。

食塩、砂糖や甘い飲み物、肉類(赤身肉)の摂取を減らす。

(食事の一例)

朝食: 全粒パンにアボカドと卵、フルーツ、低脂肪ヨーグルト

昼食: グリルチキンと野菜のサラダ、全粒パン

夕食: 焼き魚、蒸し野菜、玄米

このような食事を毎食用意することは難しいと思いますので、実際には宅配食を利用したりできる範囲で食事管理を行い、できる範囲で継続していくことが重要と考えています。

当院では、医師からの指導に加え、管理栄養士による食事指導を実施しております。また、体組成計である「INBODY」を用いて筋肉量や脂肪量を評価し、生活習慣の改善の効果を経時的に評価します。

適正体重の維持

BMI(体重[kg]/身長[m]²)25未満を維持する事が推奨されています。

肥満(BMI25以上)と高血圧は密接な関係があり、肥満の患者さんは高血圧を発症しやすいことが知られています。また、肥満の患者さんで体重を3%以上減らすことにより、血圧が低下する事が報告されています。

運動

ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動をすることにより、収縮期血圧が2~5mmHg低下する事が期待できると報告されております。

頻度の目安としては、有酸素運動を毎日30分、または週180分以上行う事が勧められています。

運動強度は「軽く息が弾む」「軽く汗ばむ」程度で行う事が進められています。

これに加えて筋肉を維持するためのレジスタンス運動や、関節の可動域向上のためのストレッチ運動も補助的に行うことが勧められています。

高血圧の患者さんは、高負荷の運動を行うと危険なこともあるので、運動強度に関しては医師と相談をしてください。

節酒

継続して一定量以上のアルコールを摂取すると、高血圧を発症しやすいことが知られています。

アルコールは、男性20-30mL/日以下、女性10-20mL/日以下に制限する事が推奨されています。

禁煙

高血圧の患者さんは脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患を起こすリスクが高いですが、喫煙をしていることによりそのリスクがさらに上がってしまうことが考えられます。そのため、禁煙と受動喫煙の防止に努める事が推奨されています。

睡眠

睡眠不足(一日7時間未満)の状態が続くと、血圧が上がりやすくなることが報告されています。そのため、血圧の上昇を防ぐためにも睡眠を十分に取ることは有用と考えられています。

また、睡眠時無呼吸症候群の患者さんは高血圧を起こしやすいことがわかっています。「日中眠い」「いびきがうるさい」などの症状がある場合には、睡眠時無呼吸が原因で高血圧になっていることもあり、検査が必要なので主治医に相談してください。

 

いかがでしたでしょうか。

高血圧では、薬を内服していてもいなくても、生活習慣の改善は全身の血管を守るために重要です。ですが、重要と言うのは簡単ですが、実際に継続することは難しいです。

そのため、まずは上記が重要であることを患者さんに知って頂き、実際には個々人の状況に合わせて、継続できる範囲で改善していく事が重要と考えています。

名古屋市で高血圧での外来受診をお考えであれば、金山駅前の当院への受診をご検討ください。

 

参考文献

「高血圧治療ガイドライン2019」PDF版 

一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子日本高血圧学会

 

この記事の執筆担当者:中村嘉宏(総合内科専門医)

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