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高血圧 薬物治療

高血圧 治療の流れ

高血圧と診断された後は、まずはすぐに薬物療法を開始すべき状況かを医師が判断します。

以下の図の、高リスクに該当する場合にはすぐに薬物療法を開始する事が検討されます。

高血圧治療ガイドライン2019より引用

 

全身の状態を確認させて頂き、緊急性が高い、重篤な状態と判断される場合には入院が必要なこともありますので、総合病院にご紹介させて頂きます。

薬物療法を急ぐ状況ではないと判断された場合には、食事指導、運動指導などで生活習慣の改善を行なった上で血圧が目標値に達するかを、1-3ヶ月間を目安に経過を見ます。その上で、血圧コントロール目標が達成できない場合には薬物療法を行います。

 

血圧の目標値に関しては以下をご参照ください。

 

薬物治療の流れとして、高血圧治療ガイドライン2019では以下のように記載されております。

高血圧治療ガイドライン2019より引用

 

要約しますと、

①リスクが高くない場合には生活習慣の改善により血圧が改善するか、1-3ヶ月間経過を観察します。

まずはACE,ARB阻害薬、Ca拮抗薬、サイアザイド系利尿薬のいずれかの使用を検討します。

③それでも血圧が下がらない場合には、こららの薬剤を2種類以上組み合わせて治療を行います。

 

高血圧における生活習慣の改善について詳しく知りたい方は、以下をご参照ください。

高血圧治療薬の選択

上記の治療の流れを参考にしつつ、患者さんの個別の状態(心臓や腎臓の状態)に併せて薬剤を選択します。薬剤選択の時に考慮される状況を下記に示します。

高血圧治療ガイドライン2019より引用

 

このように心臓や腎臓の状態により選択すべき薬剤の種類が変わるので、高血圧と診断された際には血液検査、尿検査、心電図、心臓超音波検査などで合併症がないかを確認する事が重要と考えています。

高血圧 薬一覧

Ca拮抗薬(カルシウム拮抗薬)

血管の収縮を抑制し、血管を広げることにより血圧が低下します。

高血圧治療薬として最も多く処方されている薬で、まず初めに選択されることが多いです。

代表的な薬品名としてはアムロジン、ニフェジピン、アテレック、カルブロック、コニールなどがあります。

代表的な副作用として、動悸、顔のほてり、足などのむくみがあります。

ARB阻害薬(アンジオテンシン受容体拮抗薬)

血管を収縮させるホルモンである「アンジオテンシンII」の受容体を阻害することにより、血圧が低下します。

代表的な薬品名としてはタナトリル、コバシル、レニベースなどがあります。

代表的な副作用として、「高カリウム血症」がありますが、慢性腎臓病の患者さん以外では稀な副作用です。また、妊娠している女性は内服することができません。

ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)

血管を収縮させるホルモンである「アンジオテンシンII」を阻害することにより、血圧が低下します。

体内の物質をブロックすることにより、血圧が低下します。

代表的な薬品名としてはアジルバ、ニューロタン、ブロプレス、ミカルディス、オルメテックなどがあります。

代表的な副作用として、「高カリウム血症」や「咳」があります。また、妊娠している女性は内服することができません。

サイアザイド系利尿薬

尿が出ることを促す利尿薬の一種類で、血管から食塩と水分を抜くことにより血圧が低下します。

代表的な薬品名としてはナトリックス、フルイトランなどがあります。

代表的な副作用として、高尿酸血症があります。

β遮断薬(ベータ遮断薬)

心臓の過剰な働きを抑えることにより、心臓から送り出される血液の量を抑えることで血圧が低下します。

代表的な薬品名としてはメインテートがあります。

代表的な副作用として、脈が遅くなる「徐脈」があります。また、気管支喘息が悪化してしまう事があり、内服を開始する前に治療中の病気を確認することが重要です。

 

高血圧の治療薬に限らず、どのような薬剤でも多少の副作用は起こり得ます。副作用が心配で内服をためらう患者さんもおられます。ですが、高血圧を治療せずに放置してしまうことにより起こりうる合併症の方が恐ろしいので、必要な際には過度に怖がらずに内服することが重要です。

高血圧治療薬をやめることは可能か

高血圧の薬物治療を開始する際に、

「一度飲み始めると一生飲まないといけないんですよね?」

という質問を受けることがよくあります。

高血圧治療薬で血圧が下がったとしても、その薬をやめてしまうと再び血圧が上昇してしまう可能性が高いのは事実です。

ですが、実際には一度飲み始めた薬をやめる事ができる患者さんもいます。薬を飲み始めた後でも減塩、運動などで生活習慣を改善することで血圧が下がり、薬を減量、中止できる事があります。

 

高血圧治療薬が1種類で量が少ない場合には、20~30%の患者さんで薬を止めることが出来るとも言われています。

ですので、薬が必要な際には躊躇わずに飲み始めて、内服開始後も生活習慣の改善に取り組むことで、薬の減量を目指すのが良いと考えています。

 

いかがでしたでしょうか。

高血圧では、必要に応じて適切なタイミングで内服を開始することが、全身の血管を守るために重要です。

また、心臓や腎臓などの合併症があるかどうかによって治療内容が変わってくるため、それらの状態を調べることも重要と考えています。

名古屋市で高血圧での外来受診をお考えであれば、金山駅前の当院への受診をご検討ください。

 

引用文献

「高血圧治療ガイドライン2019」PDF版 

一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子日本高血圧学会

 

この記事の執筆担当者:中村嘉宏(総合内科専門医)

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