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血圧とは何か?と、その測定方法

そもそも血圧とは

体の中で流れている血液により、酸素や栄養を全身に届けています。全身に血液を届けるために心臓が収縮して、その勢いで血液を全身に届けています。

血圧とは、心臓から送り出された血液が血管(動脈)を流れるときに、血管の内側にかかる圧力のことを指します。

血圧の測定により、この圧力を数値で示すことが可能です。心臓から離れるにつれてこの圧力は低下していくため、正確に血圧を把握するためには、毎回同じ場所(上腕)で血圧を測定する必要があります。

血圧が高い状態である「高血圧」では、血管の内側にかかる圧力が強くなるため血管が痛み、それにより様々な合併症を引き起こす原因になります。

 

高血圧による合併症に関して詳しく知りたい方は、以下をご参照ください。

血圧の「上」と「下」とは

上の血圧は「収縮期血圧」と呼ばれ、心臓が収縮することによって血液が最も強く送り出された時の血圧です。

下の血圧は「拡張期血圧」と呼ばれ、心臓がゆるむ(拡張する)ことによって血液が心臓に戻ってきている時の血圧です。

診察室で測定した際に、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。

白衣高血圧とは

病院で測定した血圧は、しばしば高めになってまうことがあります。家庭で測定した血圧は正常で、病院での血圧のみが高い状態を「白衣高血圧」と言います。

この白衣高血圧の原因は(白衣を見ることによる)緊張により交感神経が優位になることにより、一時的に高血圧になると考えられています。

診察室で測定して高血圧と診断された患者さんのうち、15~30%はこの「白衣高血圧」であると言われており、特にご高齢の方で多いとされています。

白衣高血圧の患者さんでは、高血圧治療薬の内服は体に有害となってしまう可能性があるため、病院内や診察室で血圧が高い場合には家庭でも血圧を正しく測定し、本当に血圧が高いのかどうかを確認することが重要です。

白衣高血圧の患者さんはその時点で自宅での血圧が高くなくても、将来的に本当の高血圧になりやすいと様々な研究から報告されており、継続的に家庭での血圧測定を行っていくことが好ましいです。

血圧の測定方法

「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子では、血圧の測定法は以下のように記載されています。

一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子より引用

 

上記を正しく行うだけで十分ですが、高血圧ガイドラインでは以下のようにさらに詳しく記載されています。

高血圧治療ガイドライン2019より引用

 

以下で、一つずつ私見も交えて要約させていただきます。

1装置

カフ式で、上腕で測定する血圧計を使用します。手首で測定するタイプの血圧計は、血圧の値が不正確になることが多いため推奨されていません。

この上腕式血圧計は、カフを自分で上腕部に巻く「腕帯巻きつけタイプ」と、腕を入れるだけで簡単に測定できる「全自動タイプ」がありますが、どちらでも問題ありません。

精度に関してですが、少なくとも日本の製造会社の血圧計であれば問題がないとされています。

2測定環境

測定前に喫煙、飲酒、カフェイン摂取は行わないことが好ましいです。

また、冬に寒い部屋で測定すると血圧が高めに出てしまうため、適温で測定した方が良いと考えられています。

腕に関しては、素肌か薄めの肌着が良いです。厚みのある服の上から測定すると、血圧が高めに出てしまうことがわかっています。

また、服を着用する場合には腕まくりをすると正しく測定できないことがあるため、腕まくりは行わないようにします。

カフは、肘の内側のくぼみから1~2cm上に巻くようにします。

背もたれつきの椅子に、足を組まずに座って1-2分安静ののちに測定します。測定中は会話をせずに、血圧を測定する腕の高さは心臓あたりが好ましいです。

3測定条件

朝晩で血圧を測定します。

朝は起床後1時間以内に測定します。排尿後、朝の薬の内服前、朝食前が好ましいとされています。

晩は、寝る前に測定します。

4測定回数とその扱い

朝と寝る前にそれぞれ2回ずつ測定し、その平均を記録します。

2回測定することが難しい場合には、1回のみの結果を記録します。

5測定期間

血圧測定はできるだけ長期間にわたり継続して行うことが好ましいです。

毎日の測定を継続していくことが難しい場合には、週に数回になってしまっても継続することが好ましいと考えています。

6記録

測定した、すべての血圧を記録します。記録の方法としては血圧手帳に記載する形でも、携帯のアプリでも問題ありません。

7評価の対象

朝と寝る前それぞれの平均値を評価の対象とします。

平均値は、7日間(少なくとも5日間)の血圧を対象とします。

血圧は変動が大きい事が一般的ですので、測定した全ての血圧を記録して主治医に確認してもらう事が重要です。

最後に

いかがでしたでしょうか。

血圧は毎日正しく測定し、それを記録していくことが重要です。

名古屋市で高血圧での外来受診をお考えであれば、金山駅前の当院への受診をご検討ください。

 

引用文献

「高血圧治療ガイドライン2019」PDF版 

OMRON社「血圧を測る正しいつかいかた」

 

この記事の執筆担当者:中村嘉宏(総合内科専門医)

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